猫のお寺の知恩さん (8) (ビッグコミックス)

  • 小学館サービス (2018年9月28日発売)
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本棚登録 : 175
感想 : 10
5

次の(9)で、このほわほわさせてくれる、質の良いラブコメが完結してしまう、と巻末で知り、大きなショックを受けている漫画読みは、きっと、私だけじゃあるまい
ダラダラと続けて欲しくはない、それは本音である
けれど、もうちょい、読みたかったってのも、心の叫びだ
しかし、オジロ先生が(9)で完結させるつもりで、最初からストーリーの展開を組んでいたというのならば、ファンとしちゃ、文句は言えない
完結巻を悲しくて、すぐには読めないかもしれないなぁ、と思う一方で、勝ってすぐに読んで、翌日には感想をここにアップしている可能性もあるっちゃある
要するに、完結巻への期待が、自分でもびっくりするくらいに高まるだけの内容だった、この(8)は
端的に、内容を説明すると、ついに、源が言った!! である
完結巻一つ前で、この展開に持ってくるオジロ先生、やるなぁ
『ああっ女神さまっ』や『金剛寺さんは面倒臭い』、または、『贄姫と獣の王』とはジャンルが微妙に被っていないので、総合的な質は同じとは言えないものの、「これまで、読んできて良かった」と確信できるだけのクオリティであるのは、間違いない
アオハル感が清涼的、と表現したら、他の漫画読みにも伝わってくれるだろうか
源からの気持ちと、知恩さんからの気持ちが擦れ違ってしまっているようでいて、何気に強く絡んでおり、これは切れそうもない、と感じさせる
これまで、知恩さんは正直にはなれていなかったが、源に真摯な好意を伝え続けられた事で、少しずつ、気持ちに変化が生じているようだ
また、恋愛だけでなく、人生の行き先にも、キャラ達が悩むのも、この『猫のお寺さんの知恩さん』の持ち味だ
自分が何をしたいのか、自分は何をしたらいいのか、葛藤に葛藤を重ね、自分の答えを手にしようと奮闘するキャラの姿に刺激され、自分の進路と真面目に向き合う気概が生じた、学生の漫画読みもいるんじゃないだろうか
待ってたって、良い事なんざない
けれど、全く悩まないと、視野は狭まり、思考が凝り固まり、道が増えない
恋愛にしても、進路にしても、自分の頭で考えた上で行動してこそ掴める成果がある
自分で判断し、決断を下せれば、きっと、満足が行く結果を得られるはずだ、言えれば、いくらか気も楽になるが、世の中、そんな上手くはいかない
ただ、やっぱり、自分の心の声に傾けられる耳と、その声を受け止める大きな心は欲しいもんだ、と思う
半ば勢いで、心の声を口から発しちゃった源の若さが、私には本当、羨ましい
果たして、知恩さんの心は、源の告白をすっ飛ばした感のある求婚に、どんな答えを返し、どう動くんだろうか
本当に、楽しみだ、どんなラストになるのか、が
源と知恩さんの恋物語に新展開が起こったのも、この(8)では驚きだったが、まさか、昼間に、あの古倉先輩が、このような気持ちを抱いていたとは想定していなかった
この点にも、(9)への期待が膨らんでしょうがない
どの回も、オジロ先生らしさが出てるなぁ、と感じるものばかりだが、インパクトの大きさで、お勧めを選ぶのであれば、第67話「お酒と脱衣の知恩さん」である
初めてのお酒で、醜態を晒しちゃう新成人ってのは、さほど珍しくないにしても、まさか、知恩さんが脱ぎたがりだったとは、思ってもいなかった
ある意味、大チャンスだったにも関わらず、知恩さんを風呂場へ連れていった源は男らしいよ、うん
恥ずかしい記憶が、おぼろげながらも残っちゃっていた、ってラストも良かった
この台詞を引用に選んだのは、源への評価が一気に高まったので
先にも書いたが、とことん、勢い任せ。しかし、そこがいい
男たるもの、惚れた女に、これぐらい言えなきゃ、カッコが付かないよな

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(小学館)
感想投稿日 : 2018年11月28日
読了日 : 2018年11月12日
本棚登録日 : 2018年9月28日

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