早乙女選手、ひたかくす (7) (ビッグコミックス)

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  • 小学館サービス (2018年11月12日発売)
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感想 : 8
5

この(7)でも、早乙女選手の腹筋はバッキバッキにキレ、恋心はキュンキュンにトキめいている
相手をリングの中でぶん殴る事に全力な女子高校生ボクサーは、恋にも、本気MAX
改めて断言するが、この『早乙女施主、ひたかくす』は、ラブコメとしても、ボクシング漫画としても、かなり高品質
もう、そろそろ、車田正美先生か、森川ジョージ先生が、推薦コメントを帯に書いてくれないだろうか、と本気で思っている
恋愛漫画の方だと、今は『フラレガール』と『ヤンキー君と白杖ガール』が来ているので、堤翔先生、うおやま先生に宣伝漫画を描いて欲しい
まぁ、そんな漫画読み特有の我儘はさておき、冗談抜きで、ボクシングパートが、この(7)は熱い
インターハイを制した早乙女さん
しかし、ボクシングに限らず、どの格闘技、競技、いや、どの業界に於いても同じ事が言えるが、一つの事で頂点に立っても、上には上がいる
強くなれば強くなるほどに、目標に向かう道の半ばに立ちはだかる壁は高くなっていく
それは、壁となる人物もまた、本当の、たった一つの頂点を目指して、自らも何枚もの壁を跳び越え、よじ登り、そして、突破してきた経験があるから
研鑽してきた自分の力が、全く通じなかった、届かなかった、何も出来ずに完敗を喫してしまった早乙女さん
悔しい、涙が止まらくなるほどに
だが、私達は知っている、彼女は立ち上がれる、と
何故なら、早乙女選手には、優れたセコンド、そして、愛しい恋人であるサトルがいるんだから!!
彼がセコンドに付いてくれれば、同じ選手に二度も負けるなんて醜態は晒さない。と言うより、好きな人の目の前で、敗けたくない!!
早乙女選手に黒星を刻み付けた、花見籠目は、何やら、サトルも知っている人物であり、その妹である鹿の子も、サトルの後輩になるようだ
一体、この姉妹とサトルの間に何があったのか、そうして、サトルの鼻に貼られている絆創膏の秘密とは
そこも気になるが、やはり、一番の見所は、サトルと早乙女さんの甘酸っぱい恋模様
初キッスを果たし、幸せを噛み締める二人。だけど、ピュアな二人には、刺激が強すぎたようで、その余韻が日常にも悪影響を及ぼすまでに
どんだけ純情なんだ、と呆れる一方で、どこか羨ましくもある
キスは年一にしよう、と作中で言っちゃいるが、まぁ、厳しいだろうな
サトルの方は、かなり、自制心が強いから、自分のボクシングと、早乙女さんのサポートに徹せる
ただ、早乙女さんの方は、不器用な性格も相まって、サトルへの「好き」をセーブするのが下手だからな
我慢しすぎて、サトルを襲っちまうのでは、と懸念しているのは私だけじゃあるまい
どの回も、アオハル感がフルスピード
その中で、私的にグッと来たのが、第82話「早乙女選手、思い出す」
どの作品にも共通する事だが、キャラの過去は、かなり大事だ
今、このキャラが、こうなのは、こんな過去があったからなのか、と読み手に納得してもらうのは、そう簡単な事じゃない
過去編で、描き手の実力が見える、と言っても過言じゃないような気がする
重い過去がなきゃ強くなれない、と決まっている訳じゃないにしても、何も背負っていない人間に、背負っている事に覚悟と矜持がある人間が勝ってほしい、と思うのは人の情か
この台詞を引用に選んだのは、サトルのカッコ良さが際立っている、と感じたので
言い訳上等、次に繋がる、繋げられるキッカケになるならば
負けないに越したことはない。けど、負けたからこそ得られるものはある
負けから学び、次戦に活かせる強さもまた、本物だ
自分が負けから掴んだそれを、好きな人の勝利の為に活用しようとするサトルは、ほんと、良い男だ
そんなサトルに支えられている早乙女選手には、今度こそ、花見籠目に勝って貰いたい
「八重さんにとって、花見選手は本来、階級はひとつ上。ウェイトも経験も、向こうが数段上で、更に今回は初対戦で・・・不慣れなサウスポー。そして、何より、今日は・・・僕が、セコンドについてへんかった。言い訳ばっかかもしれんけど、言い訳が見つかる限りは、僕らは、全然、立ち上がれます・・・それに、今の八重さんにこそ、僕が必要な気がするんです。僕、ホンマ、ぎょうさん負けてるから」(by月島サトル)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(小学館)
感想投稿日 : 2019年2月28日
読了日 : 2019年2月28日
本棚登録日 : 2019年2月28日

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