パパと親父のウチご飯 8 (BUNCH COMICS)

著者 :
  • 新潮社 (2018年2月9日発売)
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本棚登録 : 253
感想 : 8
5

誰にだって、目を背けたくなるような過去があるもんだ
顔から火が出そうなほど恥ずかしい事があったとしても、その青臭さが「今」に繋がっているのだから、忘れちゃいけないし、無かった事にしても仕方がない
どんなジャンルの漫画にも言える事だけど、過去編で人気が左右する、と言っても過言じゃない
過去編で読み手の心を揺さぶって人気がより高まる作品もあれば、それなりに人気があったのに過去編で手を抜いたせいで打ち切りの憂き目に遭ってしまう作品もある
過去の経験や努力がキャラの背骨になる以上、読み手を納得させるものにしなくちゃいけない
漫画家にとってはプレッシャーだろうが、それを跳ね除けてこそ得られる成長もある
この(8)、あくまで、個人的な印象ではあるが、実に好かった
千石さんも、晴海さんも、まだまだ、自分達は父親として半人前だ、と思っているだろうけど、そんな現在よりも、酷かった時期が彼らにはあった
自分の子供との向き合い方が一人では掴み切れず、かと言って、逃げだす訳にもいかず、ギリギリだった二人だったからこそ、この共同生活は上手く行ったんだろう
やっぱり、育児ってのは助け合いが肝心なのだろう
友人よりかは少し深い関係性である二人を繋げたのも食であり、ギスギスしかけていた父と娘の関係を改善の方向に向けてくれたのも食
食べるってのは、体だけでなく、心の育成にも大事なんだな、そう、しみじみと感じるストーリーだ
我武者羅に悪戦苦闘する姿にこそ、父親のカッコ良さってのは如実に出るのかも知れない
どの回も、心と胃、どちらにも響いたが、最も好感が持てたのは、40話「チンジャオロースー」だ
青椒肉絲が大好物の一つであるコトは否定しないが、ストーリーの良さで推したい
育児あるあるのような気がする、炊飯器の買い替えは
子供は成長していくごとに食欲が増していき、これまでの炊飯器で炊ける米の量では足りなくなっていく
大変だ、と思いながらも、親ってのは子供がいっぱい食べられるようになっていく事に、幸せを噛み締めるんだろう
しかし、ここ最近の炊飯器ってのは多機能ですよね。下手に良い物を買っちゃうと、米すらマトモに炊けない可能性が。個人的に気になっているのは、米を入れると必要な水の量を教えてくれるタイプ
また、この回は次巻への引っ張り方が上手い。半々人前だった頃の自分を懐かしい、と感じ、少しは成長できただろうか、そんな自信が芽生えた矢先にやってきた、己の過去の中でも特に重い事件
果たして、晴海さんはこれを受け止めきれるんだろうか。彼は優秀な分、どうにも、問題を自分一人で抱え込みすぎやすい。育ちもあるんだろうけど、誰かを頼るってのは、悪いことでも弱さでもない
この台詞を引用に選んだのは、千石さんの男気が滲み出てるなぁ、と感じたので。こんな事を言ってくれる旦那なんていない、やさぐれた意見もあるかも知れないが、漫画の中にくらい、こんなカッコイイ旦那がいてもいいではないか。夢を追うのに、年齢も立場も関係ない。助けてくれる誰かがいて、「やってこい」と背中を押してくれるのならば、その人の為にも躊躇せず、やってみるべきだ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(新潮社)
感想投稿日 : 2018年5月16日
読了日 : 2018年3月5日
本棚登録日 : 2018年2月9日

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