ワカコ酒 6 (ゼノンコミックス)

著者 :
  • 徳間書店 (2016年1月20日発売)
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本棚登録 : 551
感想 : 34
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ホント、この作品の危険さは巻を重ねるごとに増している
体質的な問題で酒が飲めない私が、この『ワカコ酒』を読むと、居酒屋メニューの本当の美味しさを引き出す為に酒を飲まなきゃ、って気にさせられちゃう
なら、買うのを、読むのを止めればいい、と言われたらそこまでなのだが、それが出来たら苦労はしないで済むのだ
下戸だから、お酒が飲めるし、割りと強い自覚のある他の読み手よりも、そう感じるのかも知れませんけど、『ワカコ酒』って、大人として憧れる一人呑みの楽しみ方を描いた作品ですよね。食事に、大勢で盛り上がりながら食べた時、大切な人と向かい合って二人きりで食べる時とは違う、一人でじっくり、その料理の味に対して真摯に向き合う楽しみがあるように、飲酒にも呑みのタイプ、異なった愉しみ方があって当たり前
居酒屋に一人で入って、お酒とツマミを楽しむ事は、大人の女性として決して恥ずかしい行為じゃ無いんだ、と元気づけられ、挑戦できるようになった、ワカコさんと同年代の女性の読み手は結構、多いんじゃないだろうか
また、呑みと食べのリアクションで基本、読み手を魅せちゃいるが、この『ワカコ酒』は何気に、自分の人生との向き合い方、そのヒントをちょっぴり示してくれているな、と感じるのも私だけじゃあるまい。お酒は大人の飲み物。だからこそ、楽しく飲みたいモノ。その楽しさの裏に、お酒でしか薄まらない、答えを出す糸口が見つかる悩みがあるのも大人になる事か。シリアスじゃない、けど、ふざけすぎてもいない。ワカコさんの酒飲みとしてのスタイルは、ホント、見習うべき点が多い
そんな話の魅力を損なわないのに一役を買っているのは、やはり、やや、太目の線で描かれている絵だろう。もし、新久先生の絵柄が違っていたら、『ワカコ酒』の良さは成立していなかったに違いない。自分の描きたい話と相性が好い絵柄を模索の末、掴みかけている新久先生は、こっから、まだまだ伸びる漫画家だ、と私は確信してる
この(6)でも、様々なお酒との相性がいい(であろう)料理が数々、登場している。私の腹の虫を盛大に泣かせてくれたのは、154夜「合鴨の燻製」だ。これもまた、勝手なイメージなんだけど、燻製の美味しさを判るようになったら、大人の仲間入りじゃないだろうか
この台詞を引用に選んだのは、今の私にとって、最もエールとなってくれたから。ホント、こうやって漫画に励ましてもらえた時、漫画読みで良かった、と思う。どんな職に就いていても、そこそこ真面目にやってれば、壁にぶつかるんですよね。そん時、「この壁は越えられんわ」と諦めて、そこの前に座っちゃうか、壁を避ける他の道を探してみるか、手を変え品を変えで壁を壊そうと気合を入れてみるか、は人それぞれだろうが、仕事の効率を少しでも良くするための努力をする事に越した事はない。自分がスキルアップすれば、周りも助けられるようになるし、手の空いた人が自分を助けてくれるようになるのだから、悪い事は一つもない

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(徳間書店)
感想投稿日 : 2016年3月11日
読了日 : 2016年3月11日
本棚登録日 : 2016年1月20日

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