鬼を飼う 2巻 (ヤングキングコミックス)

著者 :
  • 少年画報社 (2017年1月30日発売)
3.76
  • (7)
  • (3)
  • (5)
  • (0)
  • (2)
本棚登録 : 83
感想 : 3
5

読むほどに、しみじみと良さと深さを感じ取れる。イイ意味で華美さを感じない絵柄が、モダンなファンタジーにマッチしているな
奇獣、そんな「ありえない」けど「存在している」、人の常識からは外れ、想像にも及ばぬ異形を通す事で、人間そのものが如実に描かれているように、私は感じる
化け狐や大百足など、他の妖怪系の漫画を読んでいれば知っている妖怪の類だけでなく、蛭人やロウツカなど、吉川先生の創作か?と思うくらい、知られていない妖異が登場するのは、この手のモノが好みにはまる酔狂な漫画読みにはたまらん
奇獣絡みの事件を解決する日常を横糸としつつ、主人公・鷹名の秘密も絡んだ、複雑な人間模様の進展を縦糸としており、ストーリーには読み応えがある
アリスに惹かれ、アリスを惹きつける鷹名、やっぱり、普通だけど普通じゃなかったか。設定としてはありきたりかも知れんが、そうでなきゃ面白くない
彼の血が今後、どんな騒乱を引き寄せるのか。そして、彼が「日常」と呼ばれる細い橋から足を踏み外さないか、もしくは、自らの意志で飛び降りないか、楽しみだ
ただ、正直、読み手を選ぶかな、と思わんでもない。私はこれくらいのペースで進んでくれた方がありがたいのだが、じれったい、っつーか、もったいぶるなよ、サクサク進め、と思う漫画読みはいそうかな、と思った
個人的に好きな回は、警保局のメンバーが大百足捕り物に挑む第13話。戦力外扱いを受けていた新人が、持ちうる能力を発揮して活躍するパターン、私は結構、好き
この台詞を引用に選んだのは、これぞ人間だな、と感じたので。浮世離れしたトコがあるからこそ、奇獣がキッカケとなって、人間特有の「知識欲」が生じるトコが、鷹名らしい。目の前で起こる、不可思議な事に対し、怖いと思うのも人間、楽しいと感じる事が出来るのも人間だ。こうやって、ワクワクできる内は、あちら側に連れていかれる事はあるまい

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(少年画報)
感想投稿日 : 2017年4月5日
読了日 : 2017年2月26日
本棚登録日 : 2017年1月30日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする