「普通」の感情や考え方を持てない主人公が、それでもなんとか人間の形をとるために見つけたコンビニの店員という居場所。
その主人公が「普通」であることを周りが、意識的にもあるいは無意識でも求めていて、本人もなんとかそうあろう、そうあるべきだと考えている。
問題ばかりでも理解できる人間であることを求める人びと。
縄文時代から変わらない「ムラ」からの、執拗な同調圧力について持論を展開する男性。
己の価値観によって、他人の人生に干渉することへのアンチテーゼか。
あるいは著者は、主人公はコンビニにいて、コンビニの声を聞いてコンビニ人間になったけど、「普通」だと思ってるあなたたちも、実は社会にいて社会の声を聞いて人間になってるだけでしょ? と言っているのかも。
強烈なキャラクターが透かし彫りのように「普通の人」に重なる。誰も完全に普通の人などいない。
1度では感想が書けず、半年後に再読
第155回(2016年)芥川賞受賞作
オーディブルで聴了
朗読:大久保佳代子
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2024年4月30日
- 読了日 : 2023年12月10日
- 本棚登録日 : 2023年12月31日
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