死の棘 (1977年)

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本棚登録 : 44
感想 : 7
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初っ端からの修羅場で、読み続けられるか試されている気分になる。読者は所詮傍観者に過ぎないのだけど、それでもこれを読むのは辛い。
自分で自分を制御できなくなる怖さや嫌悪、これは経験したことのある人にしかわからないだろう。おそらく二人とも、相手と同じくらいもしくはそれ以上に自分が嫌になっている。恐ろしい負のスパイラル。それに子供達が巻き込まれてしまうことも未来への悲惨さを加えている。
かなり特殊なかたちではあるけれど、夫婦について考えるひとつの例。試練はいつ訪れるかわからない。状態はすごく悲惨なのだけど、ここまでになっても離れられない絆には少し憧れも覚える。人間関係が淡白になりつつある時代なので、若者こそ読むべき本かもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2017年9月12日
読了日 : 2017年9月11日
本棚登録日 : 2017年9月12日

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