悩みはイバラのようにふりそそぐ: 山田かまち詩画集

著者 :
制作 : なだいなだ 
  • 筑摩書房 (1992年12月1日発売)
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本棚登録 : 79
感想 : 12
3

色彩がとてもすてきで、おそらく本で読んだだけではその魅力が伝わりきっていないのだろうと推測する。表紙の絵「プリーズ・ミスター・ポストマン」はとてもいい。全体的に澱んだ水の色、腐った緑色なのが17歳ゆえの鬱屈を表しているようだった。
デッサン画はあまり目を引くものがなくて、おっと思うものがあってもおそらくアレを真似ているのかな?と思うものがある。詩も、若さゆえの不安定な精神と未熟さ故の勢いを感じた。それに、投げやりになっているのだな、と思わせる事に混じって、一部本質を突いている。……かまちさん自身は、まさか自分の死後に作品が公開されることを見越してつくったものではないだろうから、これにも何か思想的な影響があるのかもしれないけど。
 どうも鼻につくのが、夭折の天才として大々的に売り出したいんだろうな、という汚さを感じるところ。うまいもんだと思った絵も詩もあったから、かまちさんの才能を否定するものではないけど、これは未来を見すえてこれから飛翔しようというエネルギーをもったまま亡くなったがゆえの武器でもあると思う。未熟で不器用な才能の原石。どう磨かれていったかわからないもの。その叫びを人前に晒しているように感じるし、かつて17歳だった自分としてはその痛々しさ、恥ずかしさを感じずにはいられない。なんだかなあ。なんだか、嫌だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史・文化
感想投稿日 : 2015年2月27日
読了日 : 2015年2月27日
本棚登録日 : 2015年2月27日

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