給食アンサンブル (飛ぶ教室の本)

著者 :
  • 光村図書出版 (2018年9月5日発売)
3.97
  • (41)
  • (35)
  • (38)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 549
感想 : 51
3

私がフォローしている方々が、よく、この作品を登録されているのを見まして、気になって読んでみたのですが、爽やかな良い作品でした。

中学1年生の同じクラスを舞台に、思春期ならではの悩みを抱えるクラスメイトが、給食を通して、前向きな気持ちになっていく連作集。

給食をメインにしているような感もあるが、それを抜きにしても、クラスメイト同士のやり取りや物語の内容に、心動かされるものがあるのも確かで、文章が読みやすい上に、笑える部分もあって、面白い。

それでいて、人は見た目に反して苦しんでいることもあり、その心の内を思いやることの大切さを教えてくれて、特に同年代の方には共感出来る部分が多いと思うので、お薦めの作品です。私の場合は、青春の素晴らしさを思い出して切なくなったり、ミルメーク懐かしいなあ、なんて感じたり。

以下、ネタバレ含みますのでご注意を。














また、この物語の構成は、ちょうど1年間を通した内容になっており、章を追うごとに、個性的なクラスメイトの色々な一面を知ることが出来て、次第に愛着を持てるようになる作り方が上手いと思いました。

更に、悩みを持つ6人の登場人物たちについては、ちょうど二人ずつ、対になっているのが面白いなと思いました。美貴と梢は転校について、桃と満は大人への憧れで、足立と清野はそれぞれのようになりたいなという、これまた憧れになります。

こういう作り方は、おそらく意図的にされているとは思うのですが、そうすることで、世界って意外に狭くて、自分は一人ぼっちじゃないんだ、現実は自分が思っているよりも、もっと素晴らしいものかもしれないという、希望の物語のようにも感じられました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童書
感想投稿日 : 2021年1月14日
読了日 : 2021年1月13日
本棚登録日 : 2021年1月12日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする