物語は、猫の「えびお」に送られた素晴らしき誕生日プレゼント、ただそれだけなのだが、これが両親ではなく、おじいちゃんからもらうのがポイントだと思い、そこには両親とはまた違った大切なものを教えてくれる、長きに渡る確かな経験や役割があるのだろうし、そうしたものを孫は直感的に捉える事が出来るからこそ、惹かれるものもあるのだろう。
そして、そこで得られた体験は、確かにえびおの深いところにいつまでも留まり続けるであろうと思わせたのは、おじいちゃんがえびおの好きなものをよく知っていることにあり、それは、本編最初の見開きの棚に載っている、ペンギンのぬいぐるみや恐竜の本、更には彼の部屋にある、飛行機や汽車や地球地図の描かれた気球のおもちゃからも察せられて、それらを「牧野千穂」さんの、水の入った瓶を眺めているような、酩酊感のあるパステル画で描き出された中にも存在するリアルな描写は、どこか幻想的でもあるところに、夢のような印象を抱かせながらも、そんなことも起こりそうな希望を感じさせるのは、この絵本が、えびおの成長物語を描いているからであり、それは扉絵の彼が、本編でどのような姿で登場しているかを見れば、きっと実感出来る、子どもに夢と希望を与えてくれる絵本です。
本書は、この物語を書かれている「蜂飼耳」さんに興味を持ったことがきっかけで、読むことにより、次は是非、詩集も読みたいと思うことが出来ました。
kuma0504さん、改めてありがとうございます。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
絵本
- 感想投稿日 : 2023年8月11日
- 読了日 : 2023年8月11日
- 本棚登録日 : 2023年8月11日
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