終末のワルキューレ (13) (ゼノンコミックス)

  • コアミックス (2021年12月20日発売)
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感想 : 13
5

まさかまさかの連続だった第6回戦も、ついに決着の刻を迎える事に!!
いきなり、勝者から言っちゃいますけど、やはり、釈迦が勝ちましたね。
七福神が合体して零福となり、釈迦のデカさに零福が自分の敗北を悟り、受け入れようとした矢先に、闇をも凌駕する邪悪が零福を飲み下し、史上最悪の存在が誕生しました。
その名は、第六天魔王・波旬(はじゅん)。狂気と暴力性、残虐さ、そして、極悪を凝縮させたような存在でした。未来すら見通せる釈迦ですら予想していなかった、なおかつ、攻撃を予知させぬ波旬の強さは圧倒的でしたね。
しかし、私を含め、大抵の読者は、釈迦の勝利を確信していたんじゃないでしょうか。信じたかった、じゃなく、勝つな、と言い切れた漫画読みは多かったと思います。
決して、梅村先生が、読み手に先読みを許すような拙いストーリーを構成しているからじゃなく、波旬に原因がありました。
確かに、波旬は強いです。多くの神すら、その存在を知らず、そのどす黒いオーラに戦慄したほどですから。けれど、これまで、神サイドで戦ってきた強者らと比べたら、完全に格が劣ります。
波旬は、ただ強いだけで、何も背負っていません。これまでの神は、様々なモノを背負っていたからこそ強かったのです。それゆえに勝ち、時に、負けたとしても、その姿には美しさがありました。
「自分」しかなく、誰からも応援される事のない波旬が、今まで長く険しい道程を歩み、己を見つめる中で地道に研鑽し、そのデカい背に様々なモノを負い、多くの者へ救いの手を伸ばし、大勢から慕われ、そして、零福と一体となった釈迦に勝てる道理がありません。釈迦が波旬を一刀両断した決め技、天眼妙覚大涅槃斬(マハーバリ・ニルヴァーナ)の太刀筋は、思わず、息をするのも忘れるほどに美しかったですね。
無様な敗北者として散った波旬でしたが、いくつか、読み手に生きていく上で大切な事を教えてくれましたね。一つ・調子に乗ると痛い目を見る、一つ・勝っていないのに勝った、と言ってしまうと、負ける、そして、一つ・鍛えられていない心は恐怖で簡単に折れる、です。

この台詞を引用に選んだのは、釈迦、カッケー、と魂が震えたので。
漢が一度、口にした言葉は、例え、死にそうになっても、絶対に撤回しない。
くどい、と思われようが、自分の筋を通すために、何度でも言い放つ。
これこそが、釈迦なんですね。
「じゃあ・・・もっかい、言わせてもらうよ・・・神が救わぬなら・・・俺が・・・救う・・・邪魔する神は、俺が殺“や”る!!」(by釈迦)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 青年漫画(コアミックス)
感想投稿日 : 2022年3月20日
読了日 : 2022年3月20日
本棚登録日 : 2022年3月20日

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