革命前夜 (文春文庫 す 23-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2018年3月9日発売)
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本棚登録 : 6309
感想 : 490
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終盤の力強さは圧巻。

舞台はベルリンの壁崩壊直前の冷戦下の東ドイツ。

一人の日本人ピアニスト留学生の目線から描いた物語。

音楽部分には手こずったけれどこの時代のドイツ情勢は興味深いものがあった。

仲間かそうでないか=密告者しないかするかの二つしかない人間関係、国に残っても去ってもどちらにも残る逃れられない苦しみに心打たれる。

少女ニナの考え、この年齢で社会情勢の中での自分の確固とした意思にはこちらまで心揺さぶられたな。

人として自由に息をつけ生きられる、自分の音を奏でられることの尊さもまた胸を打つ。

終盤は圧巻。まさに力強いffフォルティッシモの連続。
誰もの関係、心情が複雑に絡み合い群衆の叫びと一体になって力強く響く、そんな時間を体験した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年7月2日
読了日 : 2020年7月2日
本棚登録日 : 2020年7月2日

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コメント 2件

まことさんのコメント
2020/07/02

くるたんさん♪

少女ニナの行動力には、私も驚きました。
確か、平成になった日から始まりましたよね。
私も、存在していた、あの時間にあんな凄い歴史が存在していたなんてと思うと驚きでした。

くるたんさんのコメント
2020/07/02

まことさん♪こちらにもありがとうございます♪
そうですよね、平成になったあの年、ドイツでこのような時が流れていたとは…。
毎回思うけれど、あの時代の欧州の社会情勢に左右される人生には言葉が出ません。

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