にいさん

著者 :
  • 偕成社 (2008年3月1日発売)
4.29
  • (68)
  • (43)
  • (22)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 367
感想 : 63
4

胸が裂けるような叫びが伝わって来ます。

にいさん 
2008.03発行。字の大きさは…大。
絵も、文も、大好きな、いせひでこ(伊勢秀子)さんです。

画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホと弟の画商テオドルス・ヴァン・ゴッホについて描いた絵本です。

この絵本は、弟テオが兄ヴィンセントを回想したものです。
兄の葬儀、そして小さかった二人、麦畑で遊んだ思いなどを綴り、兄が画商に勤め、また、いろんな勤めに就くが、誠実に生きようとすればするほど、節度のない過剰な人間とみなされて居場所を失って行った兄の生きづらさと、白い画布以外に自分らしく生きられる場所がないという痛切な叫びが伝わって来ます。
胸が裂かれるようです。
兄は弟に、社会の無理解という牢獄の扉を開けるカギは、兄弟として友人としての愛なのだと訴え続けています。テオは生涯かけて、その兄の想いにこたえようとしました。

いままで見てきました、いせさんの絵とは、全く違います。いままでの絵は、水彩画で、透明なあおを基調としたものなどでしたが。今回の絵は、油絵です。それも、おもく、沈んだ、重圧感が感じられる絵です。
2021.01.31読了
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【令和3年(2021年)1月に読んだ本】

1月に読んだ本は、32冊です。
今月読んだ中で一番感銘を受けた馳星周さんの「雨降る森の犬」は、父が亡くなり、母がボーイフレンドとアメリカに行って、一人残された中学生の雨音と、力強くて、優しいく、賢いが強情なスイス原産の大型犬バーニーズ・マウンテン・ドッグの雄犬ワルテルの心温まる物語です。最後は、泣いてしまいました。

今月のベスト本は、下記の9冊です。
★★★★★5つは、下記の1冊です。
雨降る森の犬 ―――――著者/馳星周

★★★★☆4つは、下記の8冊です。
にいさん ――――――――――――著者/いせひでこ(伊勢秀子)
日本の美しい幻想風景 ――――――著者/パイインターナショナル
静かな木 ――――――――――――著者/藤沢周平
あおのじかん ――――――――――著者/イザベル・シムレール
白い馬 ―――――――――――――著者/東山魁夷
本所おけら長屋(十五) ―――――――著者/畠山健二
焦眉 警視庁強行犯係・樋口顕 ―――著者/今野敏
南アルプス山岳救助隊K-9 風の渓 ―著者/樋口明雄

※令和2年(2020年)1月から、その月の最後に読んだ本に、その月のベスト本をのせています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 詩集、絵本、写真
感想投稿日 : 2021年1月31日
読了日 : 2021年1月31日
本棚登録日 : 2020年12月23日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする