かたみ歌 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2008年1月29日発売)
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本棚登録 : 2826
感想 : 468
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もの哀しく、ほのぼのとして、そぐとした郷愁を誘う奇跡の物語です。

東京は下町のアカシア商店街でちょっと不思議な出来事が起こります。昭和四十年代半ばの学生運動が盛んな時で、千円札に伊藤博文の肖像が使われていた時です。この商店街では、日に何度も、テーマ音楽というべき昔の流行歌「アカシアの雨がやむとき」のレコードが流れています。

昔懐かしいヒット曲が次々に登場し、その当時の話題の人や事件など当時をしのぶよすがが全編にちりばめられています。そして、いわくありげな幸子書房が舞台として必ず登場してきます。ちょっと不思議な幽霊が、過去の自分が、思い出が、傷ついた人の心を優しく包んでいきます。その模様を連作短編7話で綴っていきます。

【読後】
読み終りこの文章を書きながら本のタイトルの「かたみ」とはと思い検索すると「死んだ人や別れた人を思い出すよりどころとなるもの」と。そうです、この本は、死んだ人や別れた人を思い出すよりどころとなる歌を綴ったものでした。この文章を書きながら背筋が寒くなっています。音読していた時は感じなかったのですが、読み終ってこの文章を書いていると背中が、そして体が寒くなって来ています。こんな経験は初めてです。
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【音読】
2023年1月7日から14日まで、音読で朱川湊人さんの「かたみ歌」を大活字本で読みました。この大活字本の底本は、2008年2月に新潮文庫から発行された「かたみ歌」です。本の登録は、新潮文庫で行います。埼玉福祉会発行の大活字本は、上下巻の2冊からなっています。
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かたみ歌
2017.06埼玉福祉会発行。字の大きさは…大活字。
2023.01.07~14音読で読了。★★★★☆
紫陽花のころ、夏の落とし文、栞の恋、おんなごころ、ひかり猫、
朱鷺色の兆、枯葉の天使、の連作短編7話。
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2023年1月14日
読了日 : 2023年1月14日
本棚登録日 : 2023年1月5日

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