想い出すのは 藍千堂菓子噺 (文春文庫 た 98-4)

著者 :
  • 文藝春秋 (2022年7月6日発売)
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感想 : 25
5

美しく、美味しいお菓子を作る藍千堂を舞台に兄弟の物語です。
気弱だけど心優しい菓子職人で菓子馬鹿といわれる藍千堂の主・清太郎と、切れ者で店を仕切る番頭の弟・幸次郎が、兄弟の父の片腕だった菓子職人・茂市と菓子作りに奮闘していきます。清太郎は、佐菜と祝言を挙げ。佐菜と佐菜の連れ子・さち5才が、新しい家族として加わり今まで以上にしっかりしてきます。

【梅薫る「ちいさ菓子」】
京橋近くの材木問屋「相模屋」の跡取り息子・喜助が、目が悪くて明かりしか感じない祖母に梅を見せたくて、梅のように匂いがして、味がする菓子を作ってほしいと行ってきます。試行錯誤の結果、食べただけで梅がかおる梅の薯蕷(じょうよ)饅頭「梅重ね」が出来上がりました。

【秘めたる恋の「かすていら」】
清太郎は、中村座の役者・岩崎八重丞から最愛のお美智のために、思い出の「かすていら」を作ってと依頼される。土佐出身のお美智に会って話を聞くと、甘味は砂糖でなく自宅で取れた蜂蜜を使ったものであった。清太郎は、何回も試して満足のいくものを作ると。お美智は、あまりにもそっくりで幸福であった家族と一緒に過ごした国元がよみがえる。

【いまひとたびの「白羊羹」】
百瀬屋の得意客である旗本小姓組組頭の高見敏藏の弟・功之介は、藍千堂があまりに高い評判なので嫌がらせにと喜助と八重丞と謀り、藍千堂に無理難題の菓子を注文させる。それを南町奉行所の定廻り同心・岡丈五郎に見つかり藍千堂に謝りに来る。そして帰りに茂市の練羊羹を渡したところ甚く気に入ったらしく買いに来る。

【読後】
図書館で借りて字をチェックすると、字が小さすぎて返却しましたが。どうしても読みたくなって、再度予約をして借りて来て、すぐ読み出しました。今回は、単行本が出ず、文庫本しか出ていません。この物語を読んでいると、心がほっこりして、笑顔になって来ます。甘いものが好きな私は、いろんな美味しそうな菓子が出てくるので唾が出て来ます。2022年のベスト本です。
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想い出すのは 藍千堂菓子噺シリーズ4作目
2022.07発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
2022.12.08~11読了。★★★★★
梅薫る「ちいさ菓子」、秘めたる恋の「かすていら」、いまひとたびの「白羊羹」、の短編3話。
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《藍千堂菓子噺シリーズ一覧》
04.想い出すのは《文庫本》      2022.12.11読了
03.あなたのためなら《単行本》    2019.04.10読了
02.晴れの日には《単行本》      ブクロク登録前
01.甘いもんでもおひとつ《単行本》  ブクロク登録前 再読2019.05.04読了
※1話と2話は、ブクロク登録前に読みました。
※なお、1話は、3話を読んだ後に再読した時にブクロクに登録しました。


「参考」
※参考は、私のメモ書きです。本の感想ではありません。
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「著者紹介」
田牧大和(たまき やまと、1966年7月2日 - )は、日本の小説家。東京都生まれ。明星大学人文学部英語英文学科卒業。市場調査会社に勤務しながら、ウェブ上で時代小説を発表していた。2007年『色には出でじ、風に牽牛』(『花合せ』)で第2回小説現代長編新人賞を受賞。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 料理、お菓子、食べ物
感想投稿日 : 2022年12月12日
読了日 : 2022年12月12日
本棚登録日 : 2022年12月8日

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