おれは一万石(14)-商武の絆 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社 (2020年8月6日発売)
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商武の絆 ー おれは一万石シリーズの14作目
2020.08発行。字の大きさは…小。

美濃今尾藩竹腰家の次男の正紀は、天明6年(1786年)下総高岡藩井上家1万石に婿入りし妻・京と一緒に世子として、藩主・井上正国と共に苦しい藩財政をやり繰りしていく物語です。

此度は、老中首座・松平定信の寛政の改革の一環として「棄捐令」により旗本・御家人の札差への債権放棄と債務繰延べが発令されます。それにより高岡藩でも家臣から棄捐令の発令が望まれますが…。

【読後】
棄捐令の話が書かれていて興味深く読んでいたが、途中から高岡藩の江戸家老の実弟・旗本・辻井源四郎が殺人罪の容疑がかけられたら、高岡藩の家臣が容疑者を探し出しに行きます。またいつもの、まずい捕物帖の始まりです。
千野隆司さんの「おれは一万石」と「入り婿侍商い帖」は、両方共、まずい捕物帖です。
今回、棄捐令についての物語であればいいのに、穴埋めのように関係ないまずい捕物帖を入れて来るのは信じられないです。

【豆知識】
「棄捐令(きえんれい)」は、江戸時代に幕府が財政難に陥った旗本・御家人を救済するために、債権者である札差に対し債権放棄・債務繰延べをさせた武士救済法令です。
なお、松江藩・加賀藩・佐賀藩など諸藩でも行われました。

「寛政の棄捐令」
寛政元年(1789年)に、時の老中・松平定信が寛政の改革の一環として発令したのが最初であり、「天明4年(1784年)以前の借金は債務免除とし、それ以後のものは利子を下げ(これまでの年利18%から3分の1の6%に)、永年賦(長期年賦)を申し付ける」という法令です。さらに以後の法定利率は、年利12%にする。
この時の棄捐(借金の棒引き)総額は、札差88人から届け出のあった額の合計で、金118万両あまりに達し、1軒平均1万3500両ほどとなります。これは幕府の年間支出とほぼ同額だったと言われています。ただし、当時の札差96人のうち8人が何らかの事情で答申に応じていないため、正確な棄捐総額は明らかになっていないです。
《Wikipediaより》
2020.10.04読了

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2020年10月4日
読了日 : 2020年10月4日
本棚登録日 : 2020年9月24日

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