あきない世傳 金と銀(十一) 風待ち篇 (ハルキ文庫 た 19-26)

著者 :
  • 角川春樹事務所 (2021年8月10日発売)
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買(こ)うての幸い、売って幸せ。
宝暦9年(1759年)、師走(12月)14日の朝。
江戸浅草田原町3丁目で太物(木綿)を扱う五鈴屋江戸本店は、開店丸8年を迎える。
店主・幸は、大阪の五鈴屋からこの浅草の地に店を出して8年を想い描くと、喜びも苦しみも……と。一番の喜びは、五鈴屋江戸本店が、この地に根をおろしたこと。苦しみは、実の妹・結(ゆい)の裏切りです。そして両替商・音羽屋忠兵衛のはかりごとで呉服(絹物)の販売が出来なくなり、太物(木綿)を扱う店へと変ったことです。

幸の知恵が、太物販売でも開花し、湯上りに使う浴衣を、夕涼みや寛ぎに……と、お洒落な浴衣として広めます。これが大当たりし、大変な売り上げになります。幸は、将来の浴衣の普及を考えて自店だけで扱うのでなく同業の浅草太物仲間(組合みたいなもの)全員で扱えるように生地、染め方の技術、紙型を無償で提供します。

それによって浅草太物仲間加盟の各店が大儲けをし。それに感動した河内屋が、浅草太物仲間の会合で、太物だけ扱う浅草太物仲間から太物も呉服も扱う浅草呉服太物仲間へと変えて。五鈴屋江戸本店が昔のように呉服も太物も扱える店にという提案をします。今作は、ここ迄です。

【読後】
火事があったり、音羽屋忠兵衛に買い占められたり……と苦難が続きましたが。幸と周りの知恵で乗り切ります。此度は、喜びも苦しいことも有り、もうひとつもり上がりに欠けるが。丁寧に、こまやかに書かれているのが印象的です。

風待ち篇 ー あきない世傳 金と銀シリーズの11作目
2021.08発行。字の大きさは…小。
312ページ
2021.09.18~19読了
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【バックナンバー】
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2021年9月20日
読了日 : 2021年9月20日
本棚登録日 : 2021年9月15日

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