死の扉 (創元推理文庫)

制作 : 小林晋 
  • 東京創元社 (2012年1月27日発売)
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本棚登録 : 146
感想 : 28
4

古き良きミステリ。そしてジャケ買い。

敵が多すぎる被害者のばあさんと、動機がありすぎる容疑者たち。
事件解明に乗り出す教師キャロラインと悪がきルーパート。
あらゆる可能性を検証し、そこまでやるかというくらい小さなことまで潰していく。そして最後に残ったものは。

『フェアプレイで謎解きを』とは帯の文言ですが、それに違わず丁寧すぎるくらいやってます。ラストに一同を集めて探偵が謎解きなんて、もう醍醐味、様式美ですよね。そこでもきっちり伏線を回収しています、ホント丁寧に。いや、いいんですよ、伝統芸能です。

個人的には、学校で生徒達がいかに教師を誘導して授業を脱線させようとするかのくだりが面白かったです。
あ、誤解なきように。もちろん本編は良質のミステリでした。このシリーズ、他も読みたいなと思っています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ(海外)
感想投稿日 : 2012年2月29日
読了日 : 2012年2月27日
本棚登録日 : 2012年2月27日

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コメント 2件

円軌道の外さんのコメント
2013/05/14


ここ最近海外ミステリーはとんとご無沙汰なんで
昔ハマっていたハードボイルド小説や
クリスティーなんかを
ごそごそ引っ張り出して
また読み返してます(笑)(^O^)


ところでkwosaさんの好きな
海外のミステリー作家って
誰ですか?

またオススメがあれば
教えてもらえると嬉しいです♪

kwosaさんのコメント
2013/05/15

円軌道の外さん!

こちらにもコメントありがとうございます。

海外ミステリ! 
全然詳しくないですし、語れるほど本当に読んでないんですよ。
クイーンは『Yの悲劇』のみ、ディクスン・カーは二、三冊。クリスティーに至っては恥ずかしながらまったくの未読(映画や海外ドラマの「ポアロ」とかを先にいっぱい見ちゃったもので......)。

だから「好き」と言えるほど作家のことを知らないんです。
あと翻訳の硬さがネックになって、筋が面白いと思っても文章がすうっと入ってこなかったりで、海外ミステリを手に取る率が下がってきていますね。

なので、質問の答えからはずれるかもしれませんが、古典や定番の新訳が出たらけっこう手を伸ばしますね。
特に東京創元社は装丁が好みな物も多いので気にしています。
このレオ・ブルースの『死の扉』も良かったですよ。

ディクスン・カーの新訳シリーズも気にしています。
もし幸運にも、まだネタバレを喰らっていないのであれば『皇帝のかぎ煙草入れ』の新訳版を早いうちに!
ハヤカワですが『火刑法廷』もおすすめ。

『火刑法廷』がでたので、また東京創元社ですがヘレン・マクロイの『暗い鏡の中に』も。
この作品はミステリマニアの間では評判が高い割に長らく絶版で中古価格もかなり高かったようです。
ファンの要望に応え、近年新訳にて待望の復刊。面白かったですよ。
ヘレン・マクロイは『殺す者と殺される者』もよかったですし、未読作も『幽霊の2/3 』『家蝿とカナリア』など、タイトルもかっこいいので追いかけてみようかと思っています。
駒月雅子さんの訳文もよかったですよ。

翻訳者の話で言えば、越前敏弥さんが気になっています。
『Yの悲劇』もいろんな版を読み比べてみて、読みやすく現代的な彼の翻訳に決めました。
彼の固定ファンもいるようですが、その気持ちもわかります。
海外ミステリを翻訳者で選ぶというのも良いのでは。

あっ、一人追いかけている作家がいました。
東京創元社の版のみですが、アントニイ・バークリーです。
米澤穂信の『愚者のエンドロール』のネタ元となった『毒入りチョコレート事件』
これは新装版で訳は古いままなので、文章の硬さは否めませんがよくできていて面白いですよ。
続く『ジャンピング・ジェニイ』『第二の銃声』ともに真相もさることながら、こちらも「毒入り」の妙味ににやりとさせられます。
好みは分かれるかも知れませんが、僕は好きです。
そして、またしても待望の復刊『試行錯誤』
そして、またまた米澤穂信の好きなミステリに名前があがっていました。
これは積読山で順番待ちです。
このシリーズも装丁がいいんですよね。

すみません、盛り上がってしまって長々と書いてしまいました。
でも、とりあえずは東京創元社の新訳版『皇帝のかぎ煙草入れ』はどうでしょうか。

あと、ハードボイルドとミステリがお好きなら、唐突ですがギャビン・ライアル『深夜プラス1』とウィリアム・アイリッシュ『幻の女』もご一緒に。
雰囲気がありつつミステリのドキドキ感が味わえる傑作だと思います。

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