異類婚姻譚

著者 :
  • 講談社 (2016年1月21日発売)
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本棚登録 : 2707
感想 : 432
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第154回芥川賞受賞作。これで154回の候補作は全て読みました(やっと…)あとでまとめにまとめます。
本谷氏としては4度目の候補での受賞なので、割と時間のかかった方だと思います。

感想としては、うーん、随分作風が変わったなあというのが第一印象。今までの本谷作品といえばエキセントリックな登場人物が出てきて物語を引っ掻き回すというのがお得意の構成だったと思うのですが、短編集『嵐のピクニック』を経てそういった奇異な登場人物に頼らずとも物語=譚を成立させられるようになったのかなと思いました(いくつかまだ読んでない作品もありますが)。
という訳で、うーん、イマイチ本谷作品を読んだな!という感じはしなくて、全く別の人の作品を読んでるような印象さえ受けました。これで受賞というのは、どうなんでしょう。今後はこういった作風にシフトしていくのでしょうか?同時収録されていた短編も登場人物よりも物語の妙に重きが置かれている感じだったので、本谷さんの書きたい方向性が変わっていっているのかもしれません。
内容としては、読んでいてなんとなくぞっとするような、不思議な感触の作品でした。散りばめられたエピソードも、なんだか実に嫌な感じです。生理的不安感を煽ってくるような、そんな描写がうまいなあと思いました。
ただじゃあ読後に何か残ったかと言われると…うーん、微妙かなあ。自分が結婚していないっていうのも、あまりこの作品に共感できない大きな要因の一つかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 芥川賞(候補含)
感想投稿日 : 2016年10月21日
読了日 : 2016年10月19日
本棚登録日 : 2016年10月19日

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