初読:2010/09/13(光文社古典新訳文庫、安岡治子訳)
再読:2014/07/27(集英社、亀山郁夫訳)
「つまり、わたしは臆病者で、奴隷だった。こういうもの言いをしたところで、べつにとまどいなど覚えない。現代に生きるまともな人間は、すべてが臆病者かつ奴隷であって当然なのだから。これは、現代のまともな人間の正常な状態なのである。」
初読した時、確かこれが初のドストエフスキー作品だったと思うのだけれども、正直あまり印象に残る作品ではなかった。
特に第一部の方は何を言っているのかよくわからず、「なんじゃこりゃ」と思ったことは良く覚えている。
今回再読して、やっぱり一部は相変わらず「なんじゃこりゃ」なのだけれども、二部に関しては随分印象深いシーンが多く、当時とはまた違った読書が出来る様になったのかと思う。
太宰治の『人間失格』などと比較しても良いのかと思うが、あちらの人物には共感できなかったのだけれども、こちらの主人公、虚栄心と見栄と矮小感と、感情の昂りと落ち込みの間を激しく行きつ戻りつするその主人公にはおおいに感情移入した。
なんで俺が道を譲ってやらなければならないんだ。なんて、よく考える。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2014年7月28日
- 読了日 : 2014年7月27日
- 本棚登録日 : 2014年7月27日
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