・裁判員として殺人事件の裁判に関わった男が、死刑判決が下されたことに悩み、冤罪だと訴えetcetc、という内容。
・全体的に裁判員制度にはいろんな矛盾があるんだぞ、という否定的とまでは行かないけどそんなスタンスで書かれてる。特に登場する裁判長は事務的過ぎる描写で、裁判員との対比にしてはやり過ぎと思った。同じ裁判員を扱いながら最近読んだ「裁判員の女神」とは随分異なるアプローチ。
・ただ、裁判員制度は民間人意見を反映させると言いながら、裁判員の人選により判決が異なる可能性のある、まるでゲームのような制度だという点は間違った指摘ではないと思った。考えてみれば当たり前なんだけど、恐ろしい事だ。
・物語としては評議が終った後の後半は色々無理があったと思う。沢山伏線を張るんだけど、後半その幾つかは単なる引っ掛けだったりして、本筋からはずれて推理小説的に持ってき過ぎたと思う。まあ、一裁判員が事件を解決!なんて荒唐無稽な結末になるよりは良かったとは思うけど。
・もう一つ、裁判員として判決に関わった人達が、有罪無罪どちらを支持したにしろ裁判の後の生活に何らかの影響を受けるんじゃないか、という点は考えさせられた。死刑判決に関わったとすれば尚更。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
物語
- 感想投稿日 : 2011年4月12日
- 読了日 : 2011年4月12日
- 本棚登録日 : 2011年4月12日
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