日本でこれだけ金融緩和をやっても思うように経済が好転しなかったり、世界でも好況の大国がなくなりつつあったり、資本主義自体の限界を感じる状況が増えてきている。
しかしここで、資本主義ってそもそも何だろう?
よくわからなかったので、資本主義に関する本を適当にいくつかピックアップして読むことにしました。
本書は資本主義の素人である僕にとってもそこそこわかりやすく、入門書としては良さそうに思いました。
前半はマルクス経済学で資本主義の原理原則を説明したあと、それだけでは説明できない国家と資本主義の関係について段階論を使いながら解きほぐしていく。
日本の近代史を丁寧に追いながら解説してくれているので頭に入ってきやすい。
後半は現在日本が抱える問題にどう対峙するか、について。
筆者の個人的見解が述べられているにとどまるので、いろんな研究者の論考を用いて丁寧に展開された前半からはかなりの飛躍を感じるけれど、意見としては面白く、首肯する部分も多い。
労働者の賃金は「生活するためのお金」+「労働者の再生産のためのお金(家族を養うお金)」+「自分自身を教育するためのお金」で決定されるため、会社の利潤がどれだけ増えたとしても賃金が増えることはない。
つまり、資本家からのトリクルダウンは原理的には起きない、というマルクスの考え方が印象に残りました。
確かに、アベノミクスでも経済界に大量のお金が投入されましたが、トリクルダウンは今んとこ起きてないですよね。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年2月16日
- 読了日 : 2016年2月16日
- 本棚登録日 : 2016年2月15日
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