大きな音が聞こえるか (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年7月25日発売)
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本棚登録 : 872
感想 : 64
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アンタは京極夏彦かと言いたくなるような分厚さ。750頁近いと本を開いている手が痛くなります(笑)。

『ホテルジューシー』と『シンデレラ・ティース』は女子大生のアルバイト物語に日常の謎を絡めたそれぞれ楽しい1冊でした。本作は男子高校生のアルバイト物語プラス旅物語で、ミステリー要素は無し。

高校1年生の泳(エイ)は、それなりに裕福な家庭に育ち、学校にも友人にもそれなりに恵まれている。趣味はサーフィン。波に乗っている時間は彼にとってかけがえのないもの。しかしほかにはこれといってしたいこともなく、ひまを持て余し気味。そんな折り、ポロロッカ(=海嘯)の存在を知る。ポロロッカとは、海が逆流して波が河を遡る珍しい現象。ブラジルのアマゾン河まで行けば、その現象に逢えるらしい。製薬会社に勤める叔父がブラジルへ転勤になり、この機会を逃す手はないと、泳はブラジルへ行く計画を立てるのだが……。

ブラジルへ飛ぶのは全体の半ばに差しかかる350頁辺りを過ぎてから。それまでは旅の費用を工面するためにアルバイト。甘ちゃんだった泳が成長してゆく姿が描かれます。日本を出発してからも、アマゾン河へ着くまでネタてんこ盛り。

時に泳と同世代だった頃を振り返って高校生の気持ちで。時に親の世代の気持ちになり、泳を心配して。中盤以降、少々眠気に襲われる箇所もありましたが、この分厚さは感じさせません。

いろんな人の良さを見つけられます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 既読(2017年)
感想投稿日 : 2017年5月28日
読了日 : 2017年5月28日
本棚登録日 : 2017年5月28日

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