田中角栄という政治家は明治・大正・昭和の<国の貧しさ>という現実を国家百年の計だとか国体、あるいは国是などのような儒教臭さに裏打ちされた大言壮語でごまかしてきた政治には見向きもせず、まず選挙民が、ひいては日本国民が豊かにならなければどんな理想を説いても空論でしかないということを身を以て体現したパイオニアと言えよう。
本書の功績は、この政治家のもつ体質的な欠陥や、あるいは戦後の日本が必要とした政治家としての資質をも含めて、戦後日本の復興、そして高度成長の歴史の流れになかに田中角栄という良くも悪くも戦後を代表する政治家の正統な居所とその果たしてきた役割を明らかにしたところにあると思われる。
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カテゴリ:
歴史・思想・社会等
- 感想投稿日 : 2013年11月2日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2013年11月2日
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