ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」

  • 光文社 (2019年6月18日発売)
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 この本は、まず、成功を「あなたが属する社会から受け取る報酬」と定義する。このとき、成功するために重要なものは、個人のパフォーマンスそのものではなく、その個人のパフォーマンスを社会がどう認識するかに掛かっている(例:レッドバロンと忘れられたパイロット「ルネ・フォンク」)。

 個人のパフォーマンスが正確に測定できる領域(例:プロテニス界)では、パフォーマンスが成功を促すが、個人のパフォーマンスが測定できない領域(例:アート界)では、ネットワークが成功を促すことになる(例:同じようなアートを描いていたSAMOのディアスとバスキア。一匹狼であったディアスと異なり、アート界の人脈作りに積極的だったバスキアは、あるグループ展で著名アーティストと並べて作品を展示してもらったことをきっかけに成功していった。)。

 プロテニス界とアート界は極端な例であるが、それ以外の多くの領域でも、パフォーマンスの高い者・物が集まると、優劣を付けることが難しくなり、様々なバイアスの下、ランダムに優劣が付いてしまうのが実情である(例:ワインの品評会、ピアノのコンクール、裁判官面接)。あるチャレンジが成功するかどうかは宝くじのようなものだと割り切って、多くのチャレンジをするべきである。そうすれば成功の確率が上がる。

 ひとたび成功すると、更に成功しやすくなる。「成功しているように見える者は、パフォーマンスに関係なく、ますます成功を引き寄せる」のである(優先的選択・マタイ効果・社会的証明)。もっとも、パフォーマンスが伴わない場合には、長期的な成功は収められない。パフォーマンスに優先的選択の効果が重なって初めて大きな成功となるのである。そして、(パフォーマンスには上限があるが)成功には上限がないため、本来のパフォーマンスを遥かに超えた成功へと繋がっていく。

 なお、チームによるプロジェクトでは、功績を認められるのは1人だけだというのが現実である。自分の功績が認められるかどうかに注意しなければならない。

感想:
 パフォーマンスは重要であるが、それだけでは足りない。多くのことにチャレンジして、仮に偶然であったとしても何らかの成功を収め、優先的選択の効果を作動させることが成功には必要である。
 優先的選択とは直接関連がないが、積極的にチャレンジを繰り返していくべきという主張は、デイル・ドーテンの「仕事は楽しいかね?」と共通していると感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年6月16日
読了日 : 2023年6月16日
本棚登録日 : 2023年6月16日

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