双界幻幽伝 再会は一蓮托生! (ビーズログ文庫)

著者 :
  • エンターブレイン (2012年10月15日発売)
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感想 : 15
3

“たしかに自分は引きこもりだが、こんなところに監禁されて喜ぶほど、被虐的な引きこもりではない。
引きこもるなら、自分の好きな場所でないと意味がない。引きこもり生活とはある意味では最高のわがままなのだ。
(兄さまが待ってる、黒烏州の邸に帰るんだ)
——正しく引きこもるために。
もしここに蒼刻がいれば「いやその理屈はおかしい」とでも即座につっこんでいたはずだが、朧月一人では残念な思考に歯止めがかからない。
蒼刻にきちんと助けられて、故郷でちゃんと引きこもろう。
そんな限りなく後ろ向きで前向きな決意を固めて、朧月はゆっくりと立ち上がった。”[P.111]

6巻目。
引っぱる引っぱる……次が気になる。
張梁が報われると良いなぁ。
あそこで土下座する朧月ちゃんが好き。

“すると張梁は、まるで違うことを言いだした。
「この部屋は、おまえが今の張宝と呼ぶ、俺の兄者の部屋だった」
「ここが?……では、あの押し花も?」
「押し花?」
張梁が初めて大きめの反応をした。不意を突かれたように顔を上げ、どこか無防備にこちらを凝視する。
朧月はびっくりして、のけぞりながら言った。
「え、ええ……。あの書棚の本に挟まってました。撫子の花が」
「…………」
何か大事なものだったのかと気を揉みながら答えるが、張梁は黙りこみ、あいづちすら打とうとはしない。ただ、気のせいか、寂しそうな瞳に見えた。”[P.162]

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文庫本
感想投稿日 : 2013年3月21日
読了日 : 2013年3月21日
本棚登録日 : 2013年3月21日

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