なんて素敵にジャパネスク ―新装版― なんて素敵にジャパネスク シリーズ(1) (なんて素敵にジャパネスク シリーズ) (コバルト文庫)

著者 :
  • 集英社 (1999年4月1日発売)
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“「いや、ぶっちぎりの仲だと怒鳴るあたり、瑠璃さんらしいと思ってさ」
あたしはカッと赤くなった。
「あ、あれは、あんたと口裏を合わせただけよ。ああでも言わなきゃ、どうにもならなかったでしょ」
「……ふーん」
高彬はすっと笑うのをやめ、いやにまじめな顔でじっとあたしを眺めた。
あんまり長いこと黙ってあたしの顔を眺めるので、不覚にもますます顔が赤らんでくる。
高彬はようやく、口を開いた。
「なんだ、思い出したわけじゃなかったの」
「思い出す?何を」
あたしがぼんやり尋ね返すと、今度は高彬がほんのりと顔を赤らめた。
「べつに、いいよ。忘れてしまってるんなら、無理に思い出すこともない。昔の約束だし」
「嫌味な言い方ね。あたしが何を忘れてるっての。昔の約束なんていったって、あんたとは何も……」
あれ。
ちょっと待て。さすがに、何かひっかかったぞ。記憶をプレイバックさせてみれば、……かすかに、何やら……。”

瑠璃姫:主人公。
高彬:瑠璃の筒井筒。
融:瑠璃の弟。
小萩:瑠璃の腹心の女房。
鷹男:東宮。宗平新王。
藤宮:東宮の叔母。

瑠璃の言葉づかいが現代チックで読みやすい。
これからが、人間関係ごちゃごちゃしそう。

“「……衛門佐どのが羨ましい。あなたのような姫を妻にされて」
「まだ、妻ってわけでもないけど……」
初夜が流れたことを思い出してブツブツ言うと、鷹男の目がかすかに光った(ような気がした)。
「まだ妻になっていないというと、あの……」
「ま、その、いろいろとあって、つまり……」
話が妙な方に行っちゃったな。
こういうことを呑気に話している状況ではないと思うんだけれど。
「あなたと衛門佐どのは、まだ……?」
「……心は妻よ、心は。しっかり」
「ということは、わたしにも機会があるかもしれないということですよね」
「!」
あまりにあからさまな言葉に、あたしは絶句してしまった。
鷹男って、人妻に強いタイプだわ。絶対にそう。藤宮さまも未亡人だし、マダムキラーなんだ。”

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文庫本
感想投稿日 : 2010年6月7日
読了日 : -
本棚登録日 : 2010年6月7日

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