京都人は変わらない (光文社新書)

著者 :
  • 光文社 (2002年11月15日発売)
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感想 : 11
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“僕は、料理の評論はすべてナンセンスだと思います。それこそ、なくなったほうが世のため人のためになるのではないでしょうか。
料理というのは、非常に個人的な世界です。ある人が美味しいと思ったものを、ほかの人が美味しいと思うかどうか分からない。同じものを食べて、僕と隣にいる家内が美味しいねぇと言っても、美味しいと思っている部分は違うかもしれません。
料理は芸術ではないと僕は思っています。なぜなら相対的な評価ができませんから。三百人がいっぺんに聞ける音楽。何万人もの人が同じものを見られる絵画というのは芸術です。相対評価ができますから。そやけど、料理というものは相対的な評価が難しい。そやからそれを評価することはできないと思うのです。
自分は美味しいと思う、ということは言えます。そやけど、それは評価ではなく、あくまでも個人的な嗜好です。そういう個人的な好き嫌いをパブリックなもので流してはいかんと思う。”

共感できる部分や、京都について新しく知れた部分とか。
なめらかで読みやすい。

“京都人はなかなか本心を見せないと言われることがあります。これはイエス、ノーがはっきりしないというところに原因があるのでしょう。長年京都に住んでる者同士やったら、阿吽の呼吸で分かるイエス、ノーが、よそさんにははっきり分からんということやね。
イエス、ノーをはっきりしないのは、嫌われたくないという保身を図る気持ちと、相手への気遣いからです。相手に嫌われたくないという気持ちがあるから、言葉を濁してしまう。相手に嫌な思いをさせたくないという気持ちが強いから、「ノー」とは言えない。”

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書本
感想投稿日 : 2010年8月13日
読了日 : -
本棚登録日 : 2010年8月13日

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