著者は造園デザイナーとして日本庭園を数多く手がける禅僧。
知らない方でしたが、ニューズウィークの「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた人物だそうです。
所作を整えることで、そこに美しさが生じると唱える著者。
「行住坐臥」のすべてを整えることは、禅の修行にもつながるそうです。
日常に禅を取り入れることで、立ち居振る舞いの美しさが生まれるだけでなく、自然と心も整って穏やかになるということです。
確かに、姿勢よく、さりげなく美しい所作の人は、落ち着いて心も安定しているように見えます。
反対に、ドタバタしている人は、せわしなく余裕がないように見えます。
全てはつながっているのでしょう。
所作について、項目別に細かく語られていきます。
正座の時の足の重ね方や、視線を置く辺りなど。
しびれてきたときに足を組み替えるのは逆効果なんだそうです。逆にしびれが増してしまうとのことです。
最も大切なのは、呼吸を整えるということ。
それだけで心の落着きを失わずに済むということですが、実際にはこれがなかなか難しいものです。
たしかに、息を荒げた僧侶にお目にかかったことがないのは、修行のたまものなのだと、改めて思いました。
日本独特のものとして発展した禅宗だけに、日本人の精神や思想を反映したものとして、日常にも取り入れるべきものが多いのかもしれません。
シンプルで無駄のない禅的生活が、世界的に評価を受けているように、所作の上でも無駄のなさを取り入れることで、気持ちの上でもすっきりできるように思います。
ところで、懐石料理とは、今では高級料理の別名ともなっていますが、もともとは禅僧がひもじさに耐えるために、懐に温かい石を抱いたことからその名があるのだと知りました。
本編の内容とは少しそれますが、おなかを温めると空腹を紛らわせられるものなのか、今度試してみようと思います。
メディアで紹介しました:
美しく生きるためには…「美しい人をつくる『所作』の基本」
https://fpcafe.jp/mocha/749
- 感想投稿日 : 2013年6月19日
- 読了日 : 2013年6月19日
- 本棚登録日 : 2013年6月19日
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