映画が公開された時には、タイトルに惹かれて、(観に行きたい)と思いましたが、行けずじまいだった作品。
監督による原作だと聞き、読んでみました。
でも、正直な感想は「なにこれ!?」といったところ。
起承転結がなくて、散文的。
日記のように主観的です。
おそらく、『カラマーゾフの兄弟』を読了した直後に読んだせいもあると思いますが、作品の薄さ、内容の軽さが驚くほどに際立っていました。
ヒロインは、死にゆく身であると知り、残された時間を有意義に過ごそうとする強い女性ですが、どうしたわけか、心の動揺や悲しみなどが記述されていないため、物語を読み進めても、特に同情も共感も呼ばず、涙を誘いません。
ヒロインが抱く、死ぬまでにしたい10のことは、読者には特に参考にもならないもので、落胆しました。
その一つに、浮気がありました。夫がヒロインである妻の死について、本人以上に衝撃を受け、悲嘆に暮れているのを尻目に、妻は違う男性と逢引きを重ねているところが、背徳的で気持ち的についていけなかったです。
彼女の考えも感じ方も知性的でなく、徹頭徹尾自己完結的なところが、一言で言ってつまりませんでした。
さらに、項目の一つに、洗礼を受けたがっていることがありますが、これはキリスト教徒ではない私にはわからない感覚でした。
キリスト教徒として死に、天国に行きたいということでしょうか。
観たかった映画ですが、観なくて正解だったかもしれないと思います。
ただ、一切が本人の目を通して語られ、第三者の目を通したものではないため、本文中に情緒的な悲しさが表れていないのかもしれません。
限りある命を効率的に充実させていくために、せわしなく生きているため、余計なセンチメンタリズムに酔っている時間はないという実際的な手法なのかもしれないと思いました。
- 感想投稿日 : 2011年6月20日
- 読了日 : 2011年6月20日
- 本棚登録日 : 2011年6月20日
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