齋藤孝氏の本。もともと本好きを公言してはばからない著者でしたが、ここまではっきりしたタイトル本を出したことに、(そんなに書店に行かない人が増えているということかな)と裏読みしながら手に取りました。
新書なので、さらっと読めます。
ネット検索ではなく、とにかく本を読みなさいという著者。なぜかというと、ネット検索で得られる知識はピンポイントすぎて、広がりが持てないからだそうです。
また、書店に行くことで、様々な本を知り、やはりここでも知識の広がりが得られるそうです。
読書の大切さはよくよく話に出ますが、少年院にいる子たちの中に、読書経験のある子はほとんどいないのだそう。
本を読むことで、知らずと「こう行動したら、こうなる」という想像力がつくようになり、読まない人はその想像力を働かせられないということでしょう。
やはり子供時代の読書体験は大きいのだと思えます。
本代に糸目はつけるな、というのも、また大きなこと。
購入した以上は、対価分の利益を得ようと、人は熱心に本を読みます。
借りた本は、その元を取ろうという気持ちが発生しないため、印象も薄いのだとか。
最近のネット社会は、手軽さ・便利さ・安さなどで確かに本から遠ざかる要因に満ちていますが、それだけ薄い社会になる恐れがあるということです。
児童手当の一部を図書カードで配布すればいいという著者の案には、賛成です。
現金だと躊躇しても、図書カードなら気兼ねなく本を買えますし、それが子供の成長資金となると考えれば、とても合理的。
ただ、貧困家庭も多いため、実現への道は遠そうですが。
子供の頃に本に親しんでおかないと、なにかと忙しい大人になってからはなかなか読書習慣は身に着かないもの。できれば子供のうちから、書店になじんでもらいたいものです。
現在では、書店がどんどん減ってきているため、近所に書店がなくなってしまう前に、行動を起こしておいた方がいい気もします。
書店は常に新しい情報がある「知の宝庫」だと思っていますが、そうした場所が町から姿を消して、ネットショッピングだけになったら、どうなるのでしょうね。
ウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールの『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』を、読み返したくなりました。
・『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』レビュー
http://booklog.jp/users/lilyca/archives/1/4484101130
- 感想投稿日 : 2015年9月17日
- 読了日 : 2015年9月17日
- 本棚登録日 : 2015年9月17日
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