無知の壁 (サンガ新書 62)

  • サンガ (2014年9月14日発売)
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感想 : 18

解剖学者の養老孟司氏と初期仏教のスマナサーラ長老という異業者交流の対談集。
科学と宗教の話は相容れるものなのかと気になりますが、お互い知識人であることから立ち位置が違っても意気投合し、どんどん話が発展していきました。

養老氏は著書『バカの壁』で、かなり大胆に「バカ」について語っていますが、それは仏教でいうと「無知」に値するのだそう。
「無知」は恐怖を生み、「バカの壁」は偏見や苦しみを生み出すとのことです。

また、知識と智慧の違いが語られました。物事を学んで生きる能力を上げることが知識で、人格を向上して心の汚れをなくすことが智慧だそうです。

歯に衣着せずにものを言う養老氏ですが、実は患者に注射一本打てない怖がりのため、医者ではなく解剖学者になったのだそう。意外な弱点を知りました。

最近では、自分のお葬式に流す曲のリクエストをする人が増えているようですが、一番人気は「川の流れのように」だそうです。

自分(主観)が入ると、理性ではなく感情が行動を支配するようになるため、理性を総動員して人格を向上させる、智慧に至ることの大切さが語られました。

知識を深め、智慧を持つことが人としてのあるべき姿だというのが、違うフィールドから世界を見つめる二人の共通した意見のようです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学・数学・IT
感想投稿日 : 2018年1月26日
読了日 : 2018年1月26日
本棚登録日 : 2018年1月26日

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