正徹物語 現代語訳付き     (角川ソフィア文庫 A 317-1)

  • 角川学芸出版 (2011年2月25日発売)
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感想 : 2

・定家推しの歌論書。「春の夜の夢の浮橋とだえして嶺に別るるよこ雲の空」は、鎌倉後期には低評価だったのが現在は定家の代表作とされている、その高評価の源流が本書。
・理想とする歌は幽玄体、だが、具体的にどういうものか説明できないところが幽玄体のポイントらしい。評論の書きぶりからして、本人はかなり作り込んでひねった歌風なのかなと感じる。
・取り上げられる人物や文言など、校注で誤りを指摘されている箇所が結構ある。おいおい、と思う。しかしそれは丁寧に校注を添えて印刷された本を読める現代の自分だから見えることで、当時の人は文献の参照も検索もいまよりよほど困難だった訳だ。そう考えると凄い。昔の記憶力も、今の技術の進歩も。
・並行して読みかけていた「応仁の乱」と、リンクする組織名や家名がまれに出てくる。政治のごちゃごちゃした駆け引きと、歌詠みの世界が実は密接に繋がっているのだと実感。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年4月8日
読了日 : 2017年4月8日
本棚登録日 : 2011年8月16日

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