老いを自覚しつつある美女と、25歳下の美青年との恋愛。
色彩豊かでみずみずしい文章。行ったこともないフランスの自然や贅沢なしつらえの部屋が目に浮かぶような気がする。
その同じ筆で、人間の、特に若い男性の美しさを丹念に描く。産毛に宿る光まで描く細密画のよう。鑑賞するような描写は、男性が読んだら当惑するかもしれない。
描かれる美しさは完全に外面的なもので、人柄の良さ等の内面的な美にはほとんど言及されない。主人公であるレアの価値観がそこにのみ置かれていることが分かる。そういう世界では、老いることは衰退でしかない。年老いた人の容貌に関する描写は、美しさの描写と同じ細密さにして残酷だ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年6月15日
- 読了日 : 2019年6月8日
- 本棚登録日 : 2019年6月10日
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