日経サイエンス 2016年 03 月号 [雑誌]

  • 日経サイエンス (2016年1月25日発売)
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10代の若者は子どもや大人よりも危険な行動に走りやすい。理由の一つは、感情をつかさどる大脳辺縁系と衝動的行動を抑制する前頭前皮質の成熟のミスマッチ。ホルモンの影響を受ける大脳辺縁系は思春期の開始(10-12歳)とともに急激に発達し、数年で成熟する。前頭前皮質はその10年後に成熟する。つまりその間、脳では不均衡な状態が続く。

青年期は生涯で最も健康的な時期だ。免疫系の機能やがんに対する抵抗力、厚さや寒さへの耐性などは人生で最も高い。身体的に丈夫であるにもかかわらず、10代の若者が死亡したりする確率は児童よりも2-3倍高い。死因の第一位は交通事故(半数以上)、以下、殺人、自殺と続く。望まない妊娠や性感染症、犯罪の発生率も高く、それらはその後の人生に大きく影響する。

10代のユニークな脳への理解を深めることによって、異常と思える行動でもそれが年齢相応のものなのか、病気の兆候なのかを区別できるようになる。

脳の可塑性は10代の若者が自由や責任といった問題について親と建設的に話合うことで、彼らの脳の発達に良い影響を及ぼすことができることを示唆している。

彼らは自身のアイデンティティを作り上げる素晴らしいチャンスを手にしている。データにあふれ親たちの時代である現代とは大きく異なる未来に向けて自らの選択に従って自らの脳を最適化していけるのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学
感想投稿日 : 2017年1月18日
読了日 : 2017年1月18日
本棚登録日 : 2017年1月16日

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