地味顔・メガネチビの花屋店長(メガネを外すと……のお約束もアリ)と、新米バイトによる、花をめぐるほのぼのショートコメディ、のはず。
デビュー作あたりからの古い作品が収録されている……ということだが、あんまり絵は変わってないのなー。あとがきには「少々嘘くさくとも簡潔で明朗なショートストーリーばかり」とあるが、それでもこの作者ならではのひねりが効いているものばかり。
たとえば、「店長は切り花を可哀そうだと思ったことはないんですか?」という店員の問いに答えて「切り花はそれは長生きはできません。しかし畑からこの町へやってきていろんな場所でいろんな人に出逢い愛される。そういうシアワセもあるんじゃないでしょうか」と答える地味顔の店長。これがね。チヤホヤされるばかりが人生じゃないよ的な方向なら、たしかに「簡潔明朗」かもしれないけど。あえて逆をいく。かつて手に入れた勝利の瞬間とか、あのときはたしかに信じていた真実とか、そーいういろんな一瞬の真実を糧に生きる……そーいうのもアリじゃん人生って。というあたりが、こうの史代が最初の作品から「本物」だったことを示しているんだと思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
コミック
- 感想投稿日 : 2014年3月30日
- 読了日 : 2007年3月30日
- 本棚登録日 : 2013年5月19日
みんなの感想をみる