翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった

著者 :
  • 牧野出版 (2005年12月1日発売)
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本棚登録 : 142
感想 : 28
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 日本に英米を中心としたヤングアダルト小説を数多く紹介している翻訳家であり、古橋秀之・秋山瑞人のお師匠さんであり、金原ひとみの父。トークショーに行く前の予習として読んでみた。読みやすく、やさしい文章。トークショーでもあまり前に出すぎないタイプの人だったけど、著書でも同じ印象を受けた。
 翻訳の技術論みたいなものは、きっと公の場では言わない人なんだろうな。そこらへんがこの本の読みどころかもしれない。〈翻訳なんて、新しいものがいいに決まっている〉〈そもそも翻訳というのは、あくまでも「間に合わせ」にすぎない〉と書かれている。だから、「自分の文体」「自分の翻訳」のようなものにあまりこだわらず、共訳も多くて、スピードが速い。純粋に、翻訳を技術職と考えているから、機械翻訳にだって遅いか早いかの問題くらいに考えているというところが、おもしろかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2016年3月6日
読了日 : 2016年3月6日
本棚登録日 : 2016年3月6日

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