心はいつも朗らかながら経済観念がまるでないランプリイ家は何度目かの深刻な財政危機に瀕していて、頼みは裕福な親戚の侯爵ゲイブリエル伯父だけでした。
ところがこの侯爵、一家とは正反対の吝嗇で狷介な人物、その奥方は黒魔術に夢中のこれまた一癖ある女性で、援助を求めた一家の楽観的希望もむなしく交渉は決裂します。
侯爵がフラットを出て数分後、エレベーターの中で侯爵は眼を金串で抉られた無惨な死体となって発見されます。
わずかな空白の時間に犯行が可能だったのは誰か、この愛すべき一家の中に冷酷非情な殺人者がいるのだろうかとの謎が最後まで魅力的です。
英国貴族の人物造型と流麗な情景描写、巧みなトリックが融合したマーシュの代表作です。
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- 感想投稿日 : 2012年8月3日
- 読了日 : 2012年8月2日
- 本棚登録日 : 2012年8月2日
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