ボヌール・デ・ダム百貨店

  • 論創社 (2002年12月1日発売)
3.77
  • (6)
  • (7)
  • (8)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 98
感想 : 8
4

 経営者、従業員、客、商店主 様々な視点から「百貨店」を描いた作品。
 マクロ視点では、百貨店の豪華絢爛な描写。地域店舗を食って増築する巨大な建造物。経営におけるシステム→商品管理、店員別売上による歩合とモチベーション、伝票、通信販売、配送。
 ミクロな視点では、人間らしい醜さ→従業員同士の競争、新人や芋っぽい娘への嘲笑、才覚への妬み嫉みやありもしない噂や嫌がらせ。
 周辺商店主の苦悩や不幸なんかも。いとこ家やロビノーさんの怒涛の不幸は思わず涙(´;ω;`)

 カムバック後はまさにシンデレラストーリー!取り入ったわけでもなくむしろ逆を貫いたにもかかわらずドゥニーズに良いほうへ動き出したのは爽快! それがまた計算だと言われるのも癪に障ったが(笑
 デフォルジュ夫人は前半は自らの立ち位置(パトロンとの繋ぎ役)も理解した愛人として周りの夫人たちと比べても知的な印象だったが、後半からはもうただの嫉妬女に成り果ててしまっていた(;´Д`)
 万引きや買い物依存なんかにも言及してて、万引き夫人に対しては「この時代からこんな盗人猛々しいクズがいたのか」と思った。盗癖心理についてもよく書かれていたと思う(・ω・)
 ムーレはカリスマ性があり、莫大な力や金や女には困らないが、それ故に「愛」を知らなかったんだろうなー。忘れてたとも言うか。 ドゥニーズと出会い互いに苦悩しすれ違っていく様はラブコメ万歳でしたヽ(´ー`)ノバンザーイ
 『時給』や『シフト』などの概念が無く、『固定給』と『歩合給』の為に、繁忙期と閑散期の経費調整には必然と採用と解雇になるのもなるほど。
 SCなどのように大型建物内に外部店舗の売り場を設ける『テナント』の概念ももちろんないので共存の道は無く、専門商店主は自社運営の百貨店に食いつぶされるしか無かったのもなるほど。
 何かしら接客販売のバイト経験ある人多いと思うけど、そういう人は読んでみると面白いかもしれません(・∀・)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外の小説・文学
感想投稿日 : 2013年3月7日
読了日 : 2013年3月7日
本棚登録日 : 2013年2月7日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする