大変興味深く拝読した。コロナが出てきた直後の意思決定がどのようにされていたのか、断片的な報道では知り得なかったことがまとまっている。未知のウイルスに対する初期対応の難しさがひしひしと伝わってくるまた、どう意思決定者に伝え、国民にコミュニケーションするか、何を課題として議論すべきかという点が、コロナ対策の本質的なテーマなのだとも再認識する。
読んでいろんな疑問が一年越しに晴れた。なぜあんなにも意思決定が遅く感じられたのか、専門家はどんな立場だったのか、などなど。最終的に思ったことは、政治の意思決定と、科学分野の検証プロセスはあまりにも相性が悪いということ。
そのギャップを埋めるために、結局は「人」同士のやりとり、つまりは政治的なかけひきがクッションとなっていたわけですが、専門家の方々の努力というか、思慮の深さには頭が下がる思い。
非科学的で非合理な判断、イニシアチブをとろうとする政府が何よりも大きな原因だと思いつつも、また一方で、こういった人たちの能力と言葉を信じて、ともに危機を乗り越えていくぞ、という強い意志と、受け取る側のリテラシーが未熟だったこととも、日本のコロナ対策の問題では根深い要因だったようにも思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年9月25日
- 読了日 : 2021年8月24日
- 本棚登録日 : 2021年7月22日
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