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内容(「BOOK」データベースより)
『心の傷と闘う子どもたちの現実と、再生への希望。“お化けの声”が聞こえてくる美由。「カーテンのお部屋」に何時間も引きこもる雅人。家族を知らず、周囲はすべて敵だった拓海。どんなに傷ついても、実母のもとに帰りたいと願う明日香。「子どもを殺してしまうかもしれない」と虐待の連鎖に苦しむ沙織。そして、彼らに寄り添い、再生へと導く医師や里親たち。家族とは何か!?生きるとは何か!?人間の可能性を見つめた感動の記録。2013年第11回開高健ノンフィクション賞受賞作!』
目次
第一章 美由 ――壁になっていた女の子
第二章 雅人 ――カーテンのお部屋
第三章 拓海 ――「大人になるって、つらいことだろう」
第四章 明日香 ――「奴隷でもいいから、帰りたい」
第五章 沙織 ――「無条件に愛せますか」
冒頭
『 はじめに
彼女はなぜ、娘の臓器写真を平然と直視できたのだろう。
JR岐阜駅から大府駅へと向かう東海道本線の新快速電車に揺られながら、私の脳裏には二〇一〇年五月十二日に京都地裁一〇一号法廷で目撃したワンシーンが、繰り返し立ち現れた。
法廷のモニターに映し出された写真が、生後八か月で亡くなった四女の肺内血管の組織細胞であることを、当然、彼女はわかっていた。
亡くなったわが子の臓器の一部を、動揺も混乱もなく見つめることは、私には多分できない。』
『誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち』
著者:黒川 祥子
出版社 : 集英社
単行本 : 296ページ
受賞:開高健ノンフィクション賞
- 感想投稿日 : 2022年6月17日
- 読了日 : 2022年7月7日
- 本棚登録日 : 2022年6月2日
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