手塚治虫の作品は秋田文庫で読むことが多いです。全集みたいな感覚ですね。
今回読んだのは『時計仕掛けのりんご』。「ペーター・キュルテンの記録」「時計仕掛けのりんご」「カノン」「白い幻影」「最上殿始末」の5作品収録。
アトムのような少年漫画ではなく、大人向けな作品ばかりです。異色ですね。
「火の鳥」や「BLACK JACK」のように少年も大人も楽しめる作品はもちろんあるのですが、収録されているのは少年向けではないと思います。これらを持って手塚治虫の闇の部分というのは、簡単というか短絡というか。
陰陽どちらも鮮明に描けるのだと思います。陰と陽どちらの濃度を上げるかの匙加減が巧みなんでしょうね。言わずもがな。
実録、混迷、郷愁、哀愁、復讐の5作品。それぞれに共通しているのは狂気か。日常生活を送る殺人者の仮面。静かに侵食されてゆく日常。忘れられない過去。消す事のできない記憶。復讐の連鎖。
闇ではないけど、黒い1冊だと思います。知らないだけで、まだまだたくさんあるのだろうな。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年11月26日
- 読了日 : 2023年11月25日
- 本棚登録日 : 2023年11月25日
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