デューン砂の惑星 1 改訂版 (ハヤカワ文庫 SF 76)

  • 早川書房 (1985年2月1日発売)
3.89
  • (29)
  • (20)
  • (32)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 271
感想 : 24
3

 先にデビッド・リンチの映画を観たのだが、アレは原作を読んでいなくてもダイジェストっぽい香りがぷんぷんしていた。
なんせ映画化された「砂の惑星」(仮に第一部としよう)ですら原作は4巻に分かれているのだ。

 各巻の内容を端的に表すとおおよそ「動乱・逃亡・修行・反撃」となるだろうか。
高貴な血筋の人間が島流しにされる「貴種流離譚」と流刑先で力を蓄え仇敵を倒す「巌窟王型」の話が融合し、更には砂漠という過酷な環境からイスラム教の雰囲気をモロにまとった「神話」でもある。

 広大な銀河帝国を背景としながらも砂丘の惑星「デューン」から一歩も出ないのは、スターウォーズで言えばルークが最初から最後までタトゥーインを出ないのと同じ。
更には1巻の時点だと宿敵ハルコンネンに攻められて逃亡するまでしか描かれておらず、話のスピードは至極スローペースである。
以下は4巻まで通しての感想だが会話はなにやら儀式めいているし出てくる用語が一々巻末の用語集を参照しないと理解できないし、加えて作中ですら語られていない銀河帝国の背景などがあって読みながら作中で何が起こっているのかがよく分からない。
作者は物語と言うよりは歴史を紡ぐような気分で書いていたんだろうなあ。
端的に言えば非常に「読みにくい」。

それでも主人公が銀河皇帝の後継者になる方法が「娘婿」というのは非常に分かりやすいと言うか「その手があったか!」と感心したものだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2024年2月23日
読了日 : -
本棚登録日 : 2024年2月20日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする