ストーリーの主軸は、アフリカ・ナイジェリア人の少女が大学時代に渡米し、「移民」としての苦しい経験をしながら外国人留学生としてアメリカで多感な時期を過ごし、いくつかの恋愛経験を重ね、再び故郷で初恋の彼と再会し…という、青春もの、恋愛もののような感じ。
しかし、正直で繊細で知的好奇心の旺盛な主人公の少女の目を通して、アメリカ社会(とりわけ人種差別を取り巻く問題)がとにかく率直に語られている、そのスパイスが、なんともユニークで、そして、あぁ、私はアメリカのことを全く知らないんだなと思い知らされ続けたという面で、とても印象的な小説でした。
渡米をきっかけに、アフリカ系アメリカ人でなく、アメリカ在住アフリカ(の、ある国の)出身者であることを意識するのと同時に、自分が「黒人」であることを「発見」した主人公が、アメリカという国の人種問題に関して考え、友人たちに自分の意見として述べていく場面、そして彼女の意見に対する友人たち(人種も出身もさまざま)の多種多様な反応が繰り返し描かれます。
今年(2020年)もまた人種差別に関する大きな社会運動「Black Lives Matter」がありましたが、この本を読んで、これまであまりピンと来ていなかった、アメリカの本音と建前の、本音の部分に少し触れたような気がしています。何か腹落ちするというか、納得感を得たというか、そんな感覚になる読後感でした。
恋愛小説としても、もどかしかったりスリリングだったり!?で最後まで面白かった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年12月13日
- 読了日 : 2020年12月13日
- 本棚登録日 : 2020年12月13日
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