著者が後書きにも記しているとおり、伏線が回収しきれないという痛恨の結果に終わっているが、それもまた黄金期の作品にも似た情熱の発露のようで味わい深い。
手垢のついたジャンルともいえる歴史ミステリだが、冒頭から圧倒的な筆力で、先行作品とは一線を画す。じっくりと手に汗握る展開といい、御茶ノ水の細やかな描写といい唸らされるばかり。
近年の作品では迷走気味の気配があったが、やはりトップクラスの作家であることを証明して見せた。流石の一言。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ミステリ/国内
- 感想投稿日 : 2010年8月4日
- 読了日 : 2010年8月1日
- 本棚登録日 : 2010年7月6日
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