山頭火句集 (山頭火文庫 1)

著者 :
制作 : 村上護 
  • 春陽堂書店 (2011年6月20日発売)
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本棚登録 : 57
感想 : 4
5

分け入っても分け入っても青い山

まっすぐな道でさみしい

すすきのひかりさへぎるものなし

うしろすがたのしぐれてゆくか

冬雨の石階のぼるサンタマリア

ゆふ空から柚子の一つをもらふ

ひつそりかんとしてぺんぺん草の花ざかり

ながい毛がしらが

あざみあざやかなあさのあめあがり

雲がいそいでよい月にする

はれたりふつたり青田になつた

酔へなくなつたみじめさはこほろぎがなく

やつと郵便が来てそれから熟柿の落ちるだけ

月がうらへまはれば藪かげ

ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない

誰も来てくれない蕗の佃煮を煮る

山から山がのぞいて梅雨晴れ

食べる物あつて酔ふものあつて雑草の雨

ここにわたしがつくつくぼうしがいちにち

月も水底に旅空がある


 季語があるのかどうか分からない句もあるが、貧しくて孤独な自分と自然を愛とユーモアのある視点で切り取っている。自由闊達で、侘び寂びを地でいっているような俳人。どの句も素晴らしい

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年8月6日
読了日 : 2024年5月3日
本棚登録日 : 2022年8月6日

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コメント 3件

goya626さんのコメント
2022/08/08

Macomi55さん
何十年も昔、「しってるつもり」という番組があって、それで山頭火を知りましたが、モーツァルトのクラリネット協奏曲の第2楽章が使われていて、この曲を聴くといつも山頭火を思い浮かべてしまいます。

Macomi55さんのコメント
2022/08/08

goya626さん
山頭火とモーツァルト???
あー、その番組のオープニングがなにかにモーツァルトのクラリネット協奏曲第2楽章が使われていたのですね。

goya626さんのコメント
2022/08/10

Macomi55さん
山頭火の生涯を紹介する場面で使われていました。それにしても、モーツァルトはなんでこんな凄い曲が作れるんだ!!

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