『朱色の研究』は素敵でした。もう読むのは3、4回目。
有栖川有栖のなかでは一番好きな小説です。
六人部がとても面白いキャラクターでした。
朱美のことを好きだといいつつ、彼の言動からは朱美への想いが伝わってきません。
「朱美ちゃんは僕にとって遠い空で輝く太陽みたいだった」
この言葉から分かるように六人部のなかの朱美はどこか理想化されているというか、
どうしても生々しい現実の人間という印象が感じられない。
ずっと六人部自体自分が朱美を好きだときちんと言っていないし。
そうしてしまったのは彼が叔父の死を厭わなかったことから始まったのか、
大野を殺してしまったことから始まったのか分からないけれど。
最後に、朱美に対して
「守るどころか、君を傷つけたね。どうか、僕がこの世にいたことを忘れて欲しい」
と言う場面が最初の六人部の純粋な気持ちだったんじゃないかなと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
現代モノ
- 感想投稿日 : 2009年12月28日
- 読了日 : 2008年11月10日
- 本棚登録日 : 2008年11月10日
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