9・11同時多発テロは元々が人為的なテロだが、世界各地で起きた天災までも見事なまでに陰謀説としてまとめ上げた作品。しかもかなりしっかりとした策略論が背景にあり、「ひょっとしたらホントにこんなコトが…」と納得させられ、ノンフィクション作品と言われても信じてしまいそうな内容だった。まぁ、こじつけと言えばそれまでかもしれないけど、ここまで信憑性のある内容だと、実際に利益を得たとされる人たちに対してついつい穿った見方をしてしまいそうだ。。。
若干、突拍子がないとは言えないもののホントに陰謀説が良くできていて、どの事例を見ても実際の社会背景と照らし合わせた整合性が計られている。
確かに中国四川大地震とかはタイミングを考えると著者の見込んだ通りの効果を得てる訳で、否応なしに怖いものを感じてしまう。。。。
いくらフィクションとは言え、これだけ巧みに裏付けられた陰謀説での実例を挙げられると、一時期話題になった東日本大震災の人工地震説も今更ながらに信じてしまいそうだ…
等々と、陰謀説を交えたミステリーで「概念としてのフィクション」作品としてみれば十分に読み応えがあり、興味深い物語だった。
ただ、それ以外での人物描写については若干希薄だったんじゃないだろうか。
幼い頃に阪神淡路大震災で被災し、傷を背負ってきた麻紀は精神を苛まれながら結局何をしたかったのか?松永に何を求めたのか??
そして吉村は一体…
ラストシーンの北京五輪開会式も、このシーンだけで想像すれば映画の1シーンのようだけど、それまでの流れからすると中途半端な感じが否めなかったかと。。。。
- 感想投稿日 : 2012年5月17日
- 読了日 : 2012年5月17日
- 本棚登録日 : 2012年3月13日
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