悪い男に愛されて (角川ルビー文庫)

著者 :
  • 角川書店 (2004年8月30日発売)
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感想 : 9
4

●感想●</BR>
会社の法務部に所属の受・津久見 円×カリスマと呼ばれる敏腕弁護士で35歳の攻・佐伯 恭祐。</BR>
どこからどこまでが計画的犯行だったのでしょうか・・・。
<blockquote>「しかし、薬の作用があるにしても、あそこまで感じやすい体は私も初めてだった。ろくに自慰の経験もないだろう綺麗な体が見る見る昂揚していく様は、処女を抱くより遙かに興奮させられた」</BR>
「・・・佐伯、先生・・・」</BR>
テーブルの上についていた佐伯の背広の袖口が、かすかに落ちて手首に嵌めていた時計が顔を覗かせる。普段、佐伯はローレックスを嵌めているが、今日は違っていた。</BR>
黒のバンド。はっきりとは見えないが、あのフェイスには見覚えがあった。</BR>
「『お願いです』」</BR>
淡々と、佐伯は言葉を紡ぐ。</BR>
「『早く、達かせて』・・・だったかな?」</BR>
「どうして・・・」</BR>
背筋が冷たくなり、頭の中が真っ白になる。耳元で激しく脈を打つ音が聞こえ、体のあちこちでうるさいほどに鼓動が聞こえてくる。</BR>
「意識が朦朧としていた君の頭の中で、私の顔は認識されなかったようだね」</BR>
佐伯はくすくすと笑う。</blockquote>
そんなに悪い男でしたか?佐伯は。結構、乙女で純な男じゃないですか〜。悪いことって言えば一服、盛ったくらいでしょ。その位、円を墜としたくて仕方がなかった訳なんだから。可愛いじゃないですか。どっちかと言えば、円の兄・周の方が悪い男ですよ。っていうか、狡賢い。「こいつ、イヤな奴だな〜」と。まあ最後に漏らした本音で少しは許せるものの、基本的に非道です。
ラストでの円、佐伯、須藤の会話が最高でした。でも、それだけの理由で伊達眼鏡って・・・滅多に見ることのできないだろう佐伯の様子が可愛い。円のボケもスゴいですけど・・・ホント鈍いっすね。須藤の意地の悪さが垣間見れて楽しかったです。なんだか円の印象が薄いのは他のメンバー(佐伯・須藤・周)のキャラが濃いからか、オオカミの群の中の子羊って感じです。
<blockquote>「どうしてそこで、先生の名前が出るんだよ」</BR>
円は困惑していた。</BR>
初めて打ち明けられた兄の本音に、どう反応していいのかがわからない。</BR>
「僕はそこまでお人好しじゃない。どうしてかを知りたければ、自分で直接確かめればいい。」</BR>
「そんな、無理だ」</BR>
「無理かどうか、試しもしないうちに決めつけるのはやめた方がいい」</BR>
兄は儚い笑み浮かべる。</BR>
「円の目から見て、僕の欲しいものをなんでも手に入れてるように見えるのは、僕が絶対諦めなかったからだ。欲しいものを手に入れるためには、どんな努力も惜しまなかった。」</BR>
「兄さん・・・」</BR>
感情が穏やかで、怒ることなどない兄の素顔を垣間見て、円は言葉を失う。</BR>
「楽して手に入れたものなんて、何一つもない。それから−−」</BR>
そこで一度言葉を切った兄は、首を左右に振った。</BR>
「本当に欲しいものは、手に入れることができなかった。とてもとても、大切に愛でてきたつもりなんだけどね」</blockquote>
周の本当に欲しいもの・・・やっぱりなぁ〜、納得。円の前ではずっと良い兄を演じていたからこそ、円は兄を慕っていたわけで。過去に熱を出して円が寝込んでいたときの様子から、周への思いと性癖は察したのですが。この時点で、すでに二人の男を悩殺している円が一番悪い男なのか・・・。</BR>
続きの<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/redirect?path=ASIN/4044505020&link_code=as2&camp=247&tag=makishome09-22&creative=1211">酷い男に愛されて</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=makishome09-22&l=as2&o=9&a=4044505020" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />では、脇役でお気に入りの須藤と周のお話だそうで。こちらの方がくせ者同士、どうなることやら・・・楽しみです。続けて読みます!</BR>

●あらすじ●</BR>
実の兄に欲望を抱いたことさえある自分の性癖を、認められずにいる津久見円。ある時、会社の敏腕顧問弁護士・佐伯恭祐から、ゲイの集まるパーティーの存在を聞く。意を決してそこを訪れた円だっが、不運にも見ず知らずの男に薬を盛られ、疼く体に酷いほどの快感を与えられてしまう。相手さえ認識できない状態だったとはいえ、兄の名を呼びながら快感を貪ったことに罪悪感を抱く円。しかも、自分を抱いた男が佐伯であったと知り・・・!?これは、すべて仕組まれていた恋の罠。逃げることは許されない−−シークレット・ラブロマンス</BR>

●シリーズ刊●</BR>
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カテゴリ: ルビー文庫
感想投稿日 : 2005年5月31日
本棚登録日 : 2005年5月31日

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