戦争の世界史(下) (中公文庫 マ 10-6)

  • 中央公論新社 (2014年1月23日発売)
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市場原理に対する反撃の歴史。軍事技術上、古代から「金のかかる」装備や戦術(戦車、騎兵、築城術)を持つ優勢な勢力に対して、「数を揃える」戦術(クロスボウ、小銃歩兵、国民皆兵制度)が対抗してきた。
数を揃えるために国家の力を効率的に動員する制度を整えたドイツ、日本、ソ連。
しかし、第一次・第二次の両大戦は国家「連合」同士の争いであり、勝利はまたしても「人間を揃えた」側ではなく、「資金を調達できた」側に帰した。

勝ち残った「グローバル資本主義」は国家を解体し、民族を溶解し、中産階級を消去して、世界を「1%の勝ち組と99%の負け組」に再編しようとしている。「共産主義」というまやかしの対抗馬は夢想のまま消滅し、「国家」最後の牙城、日本は自壊しつつある。

マクニールは「市場原理の優勢は一時的なもの」とみているが、国家ですら制御できなくなった市場原理を一体誰が統制できるのだろうか。

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感想投稿日 : 2014年5月16日
読了日 : -
本棚登録日 : 2014年5月4日

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